芋名月(いもめいげつ)

お月見と言えば「中秋の名月」がすぐに思い浮かびますが、実は「芋名月」と呼ばれることもあることをご存知でしたか?また、その芋は「さといも」のことを指していることもご存知でしたか?

中秋の名月には「さといも」もお供えする

中秋の名月とは旧暦の8月15日の月のことを言います。そして中秋とは秋、旧暦でいう7月~9月、のちょうど真ん中の日となる8月15日のことを言います。
なお、2019年について言うと太陽暦では9月13日となります。
これを仲秋と書くと旧暦8月のことを指し示すこととなり、15日以外の日も対象となります。

お月見というと「だんご」や「すすき」をお供えするイメージがありますが、昔は「さといも」もお供えすることが通例でした。ちょうど「さといも」が収穫時期を迎える頃であることから、その収穫をお祝いし、豊作のお礼をするという意味がありました。
なお
・「だんご」は月に形が似ていて、欠けても満ちるところから不死の象徴として、
・「すすき」は稲穂の代わりとして、子孫繁栄・五穀豊穣を見守る月が下りてくるものとして、
お供えされます。

縄文時代から身近な「さといも」

その原産はインドから東南アジアにかけての地域と言われていますが、日本には「米」が広まる以前の縄文時代には広まっていました。そして江戸時代くらいまでは「いも」と言えば「さといも」のことを指していたほど、身近だったのです。
また、「さといも」は中心に親芋、その周りに子芋、そして更に孫芋ができることから、昔から子孫繁栄の縁起物として食べられています。

現在、日本で出回っているだけでも30種以上とも言われる「さといも」ですが、代表的な品種の「土垂(どだれ)」、大阪の石川村で作られた「石川早生」、伝統京野菜として有名な「海老芋」、宮崎県名産の「タケノコ芋(別名:京芋)」、特に縁起物として珍重される「八頭(やつがしら)」など、品種名からしても長く日本に根付いているものが主流として挙げることができます。

食欲の秋には「さといも」が効果的

「さといも」と言えば特徴として挙げられるのが「ねばねば」であり、その成分にはガラクタンとムチンが含まれています。
ガラクタンは炭水化物とタンパク質の複合体であり、血中脂質を減らし動脈硬化を防ぐ作用があるとともに、摂取しすぎても脂肪として蓄積されません。
糖分(炭水化物)を大量摂取すると、通常は分解しきれない分は体内に脂肪として蓄積されるのですが、私たちの体内にはそもそもガラクタンを糖分に分解する物質が無いために、ガラクタンがそのまま体外に排出されるためです。

ムチンはタンパク質と多糖類が結合したものですが、「さといも」だけではなく、オクラ・納豆などにも含まれている成分です。
ムチンは胃腸の働きを高めるとともにタンパク質の消化・吸収に役立っています。

「さといも」を他の代表的な芋類のじゃがいも・サツマイモと比べた場合、やはり注目すべきはカリウムの豊富さです。
カリウムは、過剰なナトリウム(塩分)を排出して体内水分量を適切に保つ働きがあり、高血圧の予防にも役立つ栄養素です。
参考記事:管理栄養士が書く:高血圧と栄養素(後編)

また食物繊維が豊富である上に、なんといってもカロリーが大変低いことが目を引きます。
食物繊維は肥満・便秘・糖尿病・血圧上昇防止、腸内環境改善と免疫力アップにつながる栄養素です。

これらの効能を持つ「さといも」、それが低カロリーで摂れるであれば、食欲の秋にピッタリだと思いませんか?


(文部科学省の日本食品標準成分表から抜粋)

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