野菜栽培:土壌と肥料の「はなし」(その1)

美味しく栄養価の高い野菜が作られるためには「しっかりとした土壌」が必要です。また、たくさんの農家さんが肥料を用いて野菜を栽培しています。そのため、農家さんには畑の手入れや肥料を与える作業が欠かせません。今回は農家さんが野菜を栽培する上で、どのような点に気をつけているのか見ていきましょう。

「良い土」の3つの条件

土は野菜が生育する上で体を支えるために必要な根をはる所です。また、水分や栄養を吸収するためのところでもあります。そのためには、以下の3つの条件が重要視されます。

条件1.土の物理性:軽くてふかふかとした土
適度な隙間があり、団粒構造になっている土が適しているとされています。
団粒構造とは土中の小さな粒子(単位)が団子状となっている状態であり、「軽くてふわふわしている」のが特徴です。
小さい隙間と大きい隙間を併せ持っている土壌であるため、保水性、排水性、そして通気性に優れています。そのため、雨があまり降らない時でも必要とされる水分が土中に蓄えられている一方で、大雨などの時には余分な水分を流してくれます。
また、その隙間が十分にある場合には通気性もよく、野菜が必要とする水分と空気を吸収することができます。

条件2.土の化学性:適切なPH(アルカリ性)と高いCEC(塩基置換容量)をもつ土
野菜は種類によって栽培する土の適したPHがあります。もともと降雨量の多い日本は土中のアルカリ分(カルシウムやマグネシウム)が流されため酸性となっている場合がほとんどであり、大抵の野菜は弱酸性~中性が適しています。
個々の野菜により弱酸性(PH5.5~6.0)、微酸性~弱酸性(PH5.5~6.5)、微酸性(PH6.0~6.5)、そして微酸性~中性(PH6.5~7.5)とそれぞれに適しているものがあります。

また、肥料を土中に保つ力(保肥力)が高い土であれば肥料切れが起こりにくくなります。
肥料は土の隙間に単に蓄えられているだけではなく、イオンの力(電気の力)によっても土中に保たれています。
具体的には、土壌自体はマイナス電気を帯びていているのですが、多くの肥料成分は水に溶けるとプラス電気を帯びる(陽イオンとなる)ため、お互いが電気的にひきつけ合うために肥料成分が土中に保たれることとなります。
CEC(塩基置換容量)とはプラスである陽イオンを引き付ける力を表したものであり、この数値が高ければ高い土壌ほど肥料を蓄えることができます。

条件3.土の生物性:多様な生物が生息する土
土の中には様々な動物・微生物がいます。野菜の生育にためになるものいれば、害をもたらすものもいます。しかし、それらが偏(かたよ)ることなくバランス良く生息している土が望ましいとされます。

栽培前の「土つくり」

良い土地があったからと言って、すぐに農家さんは野菜が栽培できるわけではありません。いくつかの工程を経て、「野菜作り」に適した「良い土」を持った畑を作り上げているのです。

工程1:堆肥の投入
3つの条件をみたす「良い土」を作るための第一ステップとなります。堆肥を投入することで、「ふかふかとして」、「保肥力に富んだ」、「多様な生物が生息」する「土」を作っていきます。
この堆肥の投入は、基本的には作付けごとに(野菜を栽培する都度)行っています。
堆肥には大きく分けて、木の葉・樹皮などを主原料とする植物性堆肥と、牛糞・豚糞・鶏糞などを主原料とする動物性堆肥があります。

工程2:石灰資材の投入
栽培する野菜に適したPHをもつ土に調整するために、カルシウムやマグネシウムを含む石灰資材を投入します。
但し、堆肥の投入と同時に行ってしまうと、化学反応を起こし窒素が逃げ出してしまうために、堆肥投入の工程とは分けて行われます。

工程3:元肥の投入
栽培に必要となる肥料の一部を作付けの前に土に施します。
必要とされる肥料を一度に投入してしまうと、野菜の根が傷んでしまい、ひどいときには枯れてしまう(肥焼けする)ことがあるために、事前に一部を施しておいて、以降は必要となる都度、追加で肥料を施すことをしています。
また、一度に必要量全ての肥料を投入してしまうと、野菜が吸収しきれなかった肥料が流されてしまい、結果的に施肥量が増えてしまいコストがかさむことや、流された肥料が周囲の環境に悪影響を起こしてしまう可能性もあるためです。

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