元気の出る野菜:不許葷酒入山門(後編)

「にんにく」「玉ねぎ」「ねぎ」「にら」「らっきょう」などの臭いのもととなる成分はイオウ化合物の一つアリシンが原因です。アリシン自体は非常に不安定な物質であるため、例えば「にんにく」の成分としてはイオウを含んむアリインという別の物質で含まれており、酵素の働きによりアリシンへと姿を変えるのです。アリイン自体には強烈な臭いはありませんが、アリシンに変化することで臭いが発生します。
また、アリシンはその他の様々なイオウ化合物に変化します。例えば、別の酵素の働きにより硫化アリルという物質となったり、過熱されることでアホエンという物質になったりします。「玉ねぎ」を切った時に涙が出るのは硫化アリルが原因です。

臭いのもとアリシンが身体に良い

アリシン、あるいはアリシンから変化したその他のイオウ化合物が体内では様々な働きをしてくれます。

1.抗菌・殺菌作用
アリシンは12万倍に薄めてもコレラ菌・大腸菌・チフス菌などを殺す力を持っています。また風邪などのウィルスを弱める力もあり、昔から風邪の予防としても重宝されています。
また、戦争中には抗生物質の代わりに壊疽(えそ)を防ぐための薬としても用いられていたことがあります。

2.疲労回復作用
アリシンはビタミンB1と結びつきアリチアミンと形を変えますが、アリチアミンはビタミンB1の吸収を促進するとともに、血液内での持続性に長けているために長時間にわたるビタミンB1の働きが期待できます。
ビタミンB1は糖質の代謝に関わっていて私たちの体内でエネルギーを生み出しています。また、神経機能(特に神経伝達)に関わるビタミンでもあり、気分を落ち着かせ集中力を高める効能があります。すなわち、肉体・精神の両面で私たちの活力を支えてます。
アリチアミンは、戦後の日本において、いくらビタミンB1を投与しても国民のビタミンB1不足が解消されない状況の中、1951年に京都大学の藤原元典教授が発見したものであり、そこから武田薬品の「アリナミン」が生まれました。

3.抗酸化作用
アリシン自体もそうですが、アリシンが変化したアホエンなどのイオウ化合物には抗酸化作用が認められます。
またこれらの野菜はアリシンなどのイオウ化合物の他にも抗酸化作用を持つ成分がそれぞれ含まれています。「にんにく」にはビタミンEが、「玉ねぎ」にはビタミンCが、また「玉ねぎ」の皮の部分にはポリフェノールの一種のケルセチンが、「ねぎ」にはビタミンCが、「にら」にはβカロテンが、そして「らっきょう」にはサポニンがそれぞれ含まれています。

機能性栄養素の種類と効能について
美容・老化防止のための抗酸化栄養素(前編)
美容・老化防止のための抗酸化栄養素(後編)

4.抗血栓作用
血栓とは血管を流れる血液が固まってできる血のかたまりのことです。血栓ができると血管が詰まり、そこから先へ血液を送りにくくなってしまいます。その結果、脳梗塞や心筋梗塞、狭心症などの重大な病気を引き起こし要因となります。血栓は血小板が集まって固まることで生成されるのですが、アホエンをはじめとする様々な硫黄化合物には血小板の働きを抑制する作用があります。

5.その他期待される効果
アリシンが胃の働きを活発にして食欲増進を促したり、アホエンもしくはその他のイオウ化合物がコレステロールの増加抑制にも効果があるのではないかと言われています。

最近ではこれらの野菜が、生活習慣病予防、特に「血液サラサラ効果」というフレーズと共に注目されています。

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