野菜の価値について考える

日本農業新聞は野菜・果物・米・畜産物・花を対象とした販売キーワードを流通業者に毎年ヒアリングし、1月に順位付けをして発表しています。流通業者には卸売業者、スーパー、生協、専門小売店、外食など、バリューチェインに参加している消費者に近い立場の方々です。このキーワードを読み解いていくと消費者が購入する際の青果物の判断基準、すなわち消費者側から見た青果物の価値が、見えてきます。

販売キーワードのヒアリング結果

2017年から2019年の過去3年間のヒアリング結果の上位5項目について以下の通りであり、我々はそれぞれのキーワードを敢えて分類してみました。

現在の青果市場では価格が決定される要因は主に需給にのみ依存しており、「天気」については収穫量(供給量)の増減に直接影響することから「価格」に分類しています。

なお、5位までに入っていないキーワードについても、「契約取引」⇒「価格」、「地産地消」⇒「おいしさ」、「GAP」⇒「安全・安心」があります。
その他にも、「簡単・時短」や「小容量」など就業者人口の増加(特に女性において顕著ですが)や小家族化などの世相を背景としたキーワードもあります。

データ参照元:総務省統計局 労働力調査長期時系列データ
http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.html#hyo_1

旧来の消費者への表示情報

大多数のスーパー、小売店では商品とともに産地・価格が表示されているのが現状です。流通量の大部分を占める青果市場経由取引の場合、流通の効率化の観点から「産地情報」の他には「サイズ」、「形状」、「色味」により規格分別された青果物を出荷・取引しているため、そもそも「安全・安心」、「機能性(栄養価の多寡)」そして「おいしさ」の情報が欠落してしまいます。
参考記事:市場参加者:仲卸 に聞く(その3)

かつての大量・安定供給の時代には合っていたのでしょうが、現在では更なる情報付加が必要です。
旧来の規格が青果物をコモディティとして取引させる原因となり、更なる拍車をかけているからです。
・個々の生産者の技術・思い、また、その青果物の特性が埋没する。
・個性が見えないことから、市場では需給のみしか価格決定材料がない。
・多様化する消費者の嗜好にあわせた販売活動ができず、「低価格」でしか訴えられない。
・青果物の差別性がないため、消費者は価格重視となる。

その結果、生産者農家の技術・思いへの適正な評価がなされず、生産者-流通業者-消費者三者間での建設的なバリューチェインが築けていない状況となっています。

最近の情報表示の取り組み

最近では市場経由商流のほかに、直接販売、大手流通業者の契約栽培による仕入れ販売や、市場でも個別青果に着目した直荷引き商流などの流通量が徐々に増えてきています。
参考記事:青果物のサプライチェーン2(多様な商流)

そこでは「生産者の顔が見える野菜」、「有機野菜」、「糖度xx度」などの個別性をうたい、その差別化により高めの価格設定をしているところもあります。
我々は消費者に対する表示項目が標準化され、その表示内容に基づいて消費者が価格比較や購買判断ができるようになれば、
・青果物がその「価値」に見合った適正価格で取引され、
・生産者と消費者が青果物を通して互いの「思い」と「ニーズ」を共有でき、
・生産者が消費者「ニーズ」を理解し、より「良いもの」を作る

ことが可能となり、はじめて農業が持続的に発展できるビジネスとしての環境が整うと考えています。

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