品種改良の歴史:「トマト」価格の源泉を探る(後編)

野菜の最近のトレンド・キーワード

日本農業新聞では毎年1月に農畜産物トレンド調査の結果を発表しています。これはスーパー・外食・卸売業者など約300社の販売担当者への調査結果をもとにしたもので、その年の販売キーワードや期待される品種を見ることができます。ここ数年のその野菜部門全体を通して見てみるとキーワードは「高糖度」「機能性」そして「小型」が人気となっています。
甘味については食味を重要視する消費者に応える際の一つのキーワードとなるのか、「トマト」のみならず「じゃがいも」「さつまいも」「ほうれん草」「にんじん」などの他の野菜ついても甘味の強い品種が目立ちます。
機能性については、国民の健康意識の高まりと機能性表示食品制度が開始されたことを背景として商品差別化を図り高価格で販売できることが理由の一つとして挙げられます。
小型については、小家族が増えた社会的な背景のほか、調理のしやすさなどが理由として考えられます。

「甘さ」「高栄養価」を追求した高糖度トマト

以下の表は栽培試験の結果ですが、品種「ハウス桃太郎」に対して、通常栽培方法による大玉トマトと水分を極限まで抑えた栽培法を行った際の高糖度トマトの比較表となります。
重さについては40%以下となりますが、酸味のもととなるクエン酸・甘味のもととなる糖度・うま味のもととなるアミノ酸・グルタミン酸が2倍前後、またビタミンCが1.4倍となっています。
美味しさを感じる脳、味を捉える味覚

収量については減ってしまいますが、消費者ニーズに応えた商品として、より高価格での販売が可能と目されているため生産者側でも栽培意欲が旺盛となってきています。

参照元:神奈川県農業総合研究所 高糖度トマト栽培における品種特性

流通業者が期待する「アメーラトマト」
そんな高糖度トマトの中でも販売担当者が期待する品種として挙げているのが、静岡県・長野県で生産されている「アメーラトマト」です。品質の他に、周年を通して供給できるという安定性も信頼感の一つとして重要であることがわかります。
ちなみに「アメーラ」のネーミングは静岡弁での「甘えらー(甘いだろう)」からきていて、商品差別化のほか産地アピールも含めてブランディング戦略も功を奏しているように思えます。

「甘さ」「機能性」そして「小型化」を追求したミニトマト

2018年流通業者が期待する「千果」
様々な品種が開発されているミニトマトですが、2017年には「アイコ」が期待される品種として挙がっていました。そして、続く2018年には「千果」の名前が挙げられています。
「千果」は「ココ」を親として開発され、糖度が高められただけではなく、リコピンが従来の1.8倍、ビタミンCが1.5倍と「トマト」のビタミン・機能性栄養素について更に磨きをかけた抗酸化作用が高まった品種です。
また、1花房当たりの花の数がミニトマト誕生初期の頃と比べて「千果」は半分以下となるように改良され、農家さんの労力を減らすことにも成功しています。

品種改良の歴史:「トマト」価格の源泉を探る(前編)
品種改良の歴史:「トマト」価格の源泉を探る(中編)

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