食材の価格:青果物のサプライチェーン(その5)

2018年6月に卸売市場法改正法案が可決・公布され、2年以内に施行されることとなります。今回の改正のポイントを見てみた結果、市場参加者が産地・品目・規格そして需給により値付けする今の大勢に拍車がかかり、生産者の「こだわり」が価格反映されず、ひいては最終消費者の求める青果物とのギャップが拡がるのではないかと危惧せざるをえません。

卸売市場の開設者要件についての変更

全国で約40の中央卸売市場がありますが、現在は都道府県あるいは人口20万人以上の市という要件のもと自治体に限られており、開設時には農林水産大臣による認可を受ける必要がありました。
なお、地方卸売市場は許可制となっていました。
今般の改正に伴い、中央卸売市場開設者の自治体要件について制限がなくなり「民間」に対しても門戸が開かれました。
また、中央卸売市場・地方卸売市場ともに認定制に移行しました。

取引ルールについての変更

現在は特例を除き原則禁止であった以下の3つのルールについて、各市場ごとの裁量に委ねられることとなりました。
第三者販売:大卸が市場外の業者に直接販売すること。
直荷引き:仲卸が出荷者から直接仕入れること。
商物分離:市場外に搬入された青果を市場で取引すること。
大卸と仲卸の業務垣根が低くなり市場業界の再編が加速される可能性が高くなりました。
市場では実物青果物を見ずに値付けを行い、青果物は市場を通さずに現地から販売先へと直接出荷されることも可能となります。

据え置かれた取引ルール

差別的取扱いの禁止:大卸が出荷者・仲卸・買参人に対して不当な差別をすること。
(中央卸売市場・地方卸売市場とも)
受託拒否禁止:卸売業者は受託者から販売委託を受けた際に正当な理由なく拒否できないこと。
(中央卸売市場のみ)

市場法改正の狙いと懸念点

以上の点を踏まえて見てみると、生産者農家さんの出荷経路を確保しつつ、特に物流の効率性について民間の力を活用し、生産者の所得拡大を目指しているようです。
その一方で、
資本力のある民間企業が市場開設者となり市場ルールについて発言権を持つようになり、取引ルールが形骸化されることで生産者にとって不利なことが起きるのではないか?
食の安定供給という公的な役割を担う市場について民間企業に委ねることが果たして良いのか?
といった懸念の声も上がっています。

生産者の「こだわり」、青果物の付加価値、消費者ニーズがマッチした上での適正な青果物の値付け、そして流通がなされるような仕組みがより必要ではないでしょうか。

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市場参加者:仲卸 に聞く(その5)

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