東西品種改良対決:「いちご」価格の源泉を探る(その5)

今までと今後の商品開発の方向性について

今までの商品開発の経緯を見てみると、当初は「路地もの(畑などでその旬の時に収穫するもの」であった「いちご」を、生産者の安定した収益源となるように「促成長期どり栽培」への品種改良から始まったようです。
そして、より大きく、きれいな赤色をした、より甘味があり香りのあるものを消費者ニーズとして研究・開発がなされてきました。
その途中では、生産者の高齢化等もあり、「玉だし」などの作業を省けるようにとか、「いちご」が柔らかすぎることや粒の大きさが不揃いであることによる収穫時・輸送時にかかる負担を減らせるようにとか、消費者の見た目へのこだわりを重視しつつ生産者の労働負担を軽減する取り組みがなされていました。
そして、実際に市場の価格にはそれらが反映されてきています。
農林水産省が「いちご」の分類時に、果物的な利用内容があることに言及していましたが、その要素が高いことが背景としてあるようです。

今後の商品開発:2010年代の品種改良から考える「いちご」の価値

栄養素にも注目した「おいCベリー」
農研機構では、いままでの品種よりもビタミンC含有量が多く、高い抗酸化活性を有している「おいCベリー」を開発しました。昨今の健康志向の高まりを消費者ニーズと捉えた品種改良、かつアピール方法をとったものであり、今までの品種改良の方向性に一石を投じるものです。なお、「おいCベリー」も今までの流れに逆らうことなく、大きさ・甘味・赤みや、高収量についても改良を重ねています。

出典:農研機構ホームぺージより
https://www.naro.affrc.go.jp/project/results/research_digest/digest_kind/flower_vegetables/027313.html

更なる大きさ甘さを追求した「スカイベリー」
栃木県が「とちおとめ」の次世代商品として研究開発したのが「スカイベリー」です。「とちおとめ」の大きさの約1.7倍と大きく、かつ粒も揃っているのが特徴です。また、「とちおとめ」ほどの酸味が感じられず、より甘さを追求した品種となります。

特に「おいCベリー」については栄養価という価格決定要因で見たように、自らのパフォーマンス向上・将来の医療費負担軽減のために栄養価を意識して摂る食生活が意識される昨今では、他品種と比較した今後の市場価格から目が離せません。

「いちご」価格の源泉について考える

「おいCベリー」の上記表ように、他品種との比較において数値化されたデータがある場合に、それらの価格差を説明できなものでしょうか?
ビタミンC、抗酸化活性、糖度がそれぞれ「とよのか」あるいは「さちのか」よりどの程度多い、また食味の良、極良を5段階評価で数字表現することにより、「おいCベリー」の価格は「とよのか」、「さちのか」と比較すると「いくらくらい」異なるのか?
また、今まで見てきたように色味・大きさなどもその要因となります。

そのような価格説明モデルがあると、農家さんも自ら価格決定権を取り戻すことができ、需給だけによる値付けから解放され安定した農業経営が可能になるとともに、経営努力が報われるようになるのではないでしょうか?
その一方で、消費者も納得した上での消費活動ができるようになるのではないかと考えます。

 

東西品種改良対決:「いちご」価格の源泉を探る(その4)

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