東西品種改良対決:「いちご」価格の源泉を探る(その4)

「とちおとめ」「あまおう」:価格を比較する

甘さと大きさをもって「とちおとめ」に対抗すべく開発された「あまおう」ですが、実際の市場取引価格はどのようになっているのでしょうか?
東京都中央卸売市場日報(http://www.shijou-nippo.metro.tokyo.jp/)から取引量の多い大田市場のデータ12/1/2017~3/31/2018について比較してみました。
市場内での大多数を占める相対取引のデータから中値を対象として比較しています。

まず、クリスマス時期はいちごの需要が高まるために互いに価格が上昇していることが見て取れます。また、「あまおう」はクリスマス前の数日間を除いて、「とちおとめ」の約20%~50%程度高い価格で取引されていることがわかります。ケーキなどには、「あまおう」が甘すぎるために「とちおとめ」の方が好まれるからかもしれません。
両者の価格差については、「果重」、「糖度」、「甘さ・酸っぱさのバランス」、「色鮮やかさ」、「硬度」という「いちご自体」の特性の他に、「クリスマス時期などの需給要因」が説明要因となるのではないかと思われます。

(あまおう価格)/(とちおとめ価格)
=a × (果重比) + b × (Brix(%)比) + c × (甘味・酸味バランス比) + d × (色味比) + e × (硬度比) + f × (需給比)

と説明できるのではないかと考えます。

「とちおとめ」「あまおう」:価格幅を見てみる

東京都中央卸売市場日報によれば、両品種について中値の他に高値と安値を見ることができます。
以下、両品種についての中値・高値・安値の時系列推移グラフとなります。
中値が高値近辺にあることから、大部分は高値ゾーンで取引されていることがわかります。その一方で、供給過多の時に価格決定権を持つ買い手パワーに圧倒される市場構造の中で、安値が高値と比べて非常に大きく乖離している事象についても見て取れます。
実際、グラフ内で赤丸で囲っている価格については、再生産コストを大きく割り込んだ価格で買いたたかれているように見受けられます。
市場における「大卸の受託拒否禁止」により飽和状態のところに更なる供給があること、また、「生産者不在の市場内で買い手が価格決定権を握っていること」が大きな理由です。
生産者農家さんが「売却希望価格を提示できる仕組み」が急務であるとともに、「需給動向を事前に把握でき、出荷先を選択できる仕組み」が必要ではないでしょうか?

大田市場での相対取引の実務内容や価格決定権については以前の仲卸業者の方へのインタビュー記事を参照して下さい。
市場参加者:仲卸 に聞く(その2)
市場参加者:仲卸 に聞く(その3)

量販店が価格決定権を握っている現状の理由については以下の記事を参照して下さい。
食材の価格:青果物のサプライチェーン(その4)


東西品種改良対決:「いちご」価格の源泉を探る(その3)
東西品種改良対決:「いちご」価格の源泉を探る(その5)

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