九州:県の営農指導者に聞く(前編)

今回は九州地区の県庁農業普及指導員であられた方に、農家の経営指導者のお仕事内容や、青果物出荷者としての取り組み内容をお伺いしてきましました。

Q.本日は宜しくお願いします。
よろしくお願いします。

Q.早速ですが、普及指導員というのはどのようなお仕事なのでしょうか?
JAの職員の方々は実地で農産物の育成方法等を指導されます。それに対して県の普及指導員は地域にあった農産物の育成方法とともに農業経営方法を根付かせることとを目的としています。そこでは、農家の継続的かつ発展的な経営が可能となるような方策のために日々奔走しています。具体的には、地域農家の取り纏めと生産・経営方針への助言、また消費動向の分析、そして売り込みを含めた販路開拓などが挙げられます。そして最終的には、農家の地位が向上していくこと、そして地域全体の農業と地域自体が活性化していくことを図ることです。

Q.対象とする農産物は何ですか?また、何年くらいご担当されていらっしゃいましたか?
県の普及指導員は数名いましたが、私の担当は野菜すべてとなっていました。他の者は、米・麦などの穀物を担当する者、畜産や果樹、担い手等の担当をする者となっていました。野菜すべてというのは、文字通り全てでして、きゅうり・玉ねぎ、いちご、れんこん、大根、、、例を挙げたらきりがないほど、守備範囲が広いものでした。
県で働き始めてから、ずうっとこの仕事でしたから、30年以上やっていたこととなります。

Q.すべての野菜を担当するためには、大変なご苦労があったのではないでしょうか?
野菜は種類が多く、それらの野菜に精通することも必要となりますが、農家の経営内容も個別ですので、そういう意味では一つ一つの農家ごとに検討する必要があります。例えば、玉ねぎを作っている農家と言っても、玉ねぎだけを作っている農家、玉ねぎといちごを作っている農家、玉ねぎ、いちごと米を作っている農家がある場合には、その経営指導内容は当然異なってくるわけですから。それに、地域内の畑も同一の条件であるということもありませんから。

Q.具体的には、どのようにして知識と経験を積み重ねられたのでしょうか?
毎日、実際の現場である農家のところに、そして畑に足を運んで農作物を見て、教えてもらい、学ぶことです。確かに教科書的な資料はあるのですが、実際の現場では参考書程度にしかなりません。やはり、農家の場合にはできた作物が答えとなります。実際、私も若いころには上司の方や農家の方が葉を見て、良質であるとかそうでないとか識別されているのをみて学びました。そういったところは、教科書では伝えきれないものだと思います。やはり、足を運び、目で見て、手で触って、そして農家から教えてもらって学ぶしかないと思います。
また、実際に足を運び、農家と顔をあわせて話をすることで信頼関係が強固なものとなります。私たちは農家の生産・経営方針にも助言を添えたり、地域農家の取り纏めを行ったりしますので、その際には信頼関係が一番重要なものとなります。

Q.県の指導員として特に気を払われていた点はどのようなところでしたか?
今でもそうだと思いますが、市場に対しては産地の信頼が一番ですので、必要とされる量と品質の青果物を継続的に確保・出荷していくことでした。その昔は「量は力なり、品質は信用なり」と言われていたようですが、私たちの頃ではともに必要とされていました。特に品質の点となるかと思いますが、競合出荷元との差別化には気を付けていました。競合出荷元と言った場合には、現在そして将来を見据えると他都道府県のみならず、アメリカや中国などの諸外国も含んで考えていました。
地域に対しては、個々の農家の個別性を考慮しながらも、地域農家全体の地位の確立、ひいては収益力向上を目指していくことが肝要でした。

Q.必要とされる量を毎年、毎時期確保することも大変なことだと思いますが?
そうですね、実際のところ天候不順による影響は避けがたいところがあります。その他にも、豊作の場合には作れるだけ作ってしまうため、生産量調整の歯止めがかけづらいことも事実です。例えば「みかん」は表年、裏年と言いまして、量・品質ともに一年おきに好・不調があるのですが、やはり「良いもの」が「たくさん」収穫できる年に敢えて生産を抑えるのは難しいところがあります。
また、端境期に出荷すると「高く」売れることがあることから、一部生産者は敢えてその時期に出荷しようとするところもあります。そのような戦略をとる農家の協力を取り付けることは非常に困難でもあります。
そのような中でも市場からの信頼を産地が失わないように、消費者が必要とする時期、たとえば「いちご」であればクリスマス、バレンタインそして卒業式・入学式時期となるのですが、そこを念頭に入れて日々ベストを尽くすことを心がけていました。

Q.必要とされる品質とはどのようなものでしょうか?
市場に大量出荷するという点では、規格(サイズ・形状など)となります。実際、生産者農家も、規格にそぐわない収穫物はプライドもありますので自ら出荷を見送ります。もちろん、規格では表せられないものとしては消費者の求める「おいしさ」もあります。

 

九州:県の営農指導者に聞く(中編)

 

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