スポーツ栄養士による:障がい者アスリートのスポーツ栄養(前編)

障がい者スポーツ

2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まり、パラスポーツやパラリンピアンの映像を様々なメディアで目にする機会が増えてきました。今や国民の98%がパラリンピックという名称を知るようになり(1)、障がい者スポーツへの関心が高まっていることがうかがえます。
パラリンピックの原点は、1948年のロンドン・オリンピックの開会式当日に第二次世界大戦の戦傷者の脊髄損傷患者16名を集めてスポーツ大会を開催したこととされており(2)(3)、パラリンピックの歴史はまだ70年足らずです。その後徐々に、視覚障がい、四肢の切断・欠損、脳性麻痺、知的障がいを持つアスリートの参加種目が追加され、2020年東京パラリンピックでは、22競技537種目が決定し、史上最多の4400人の参加が見込まれています(4)。また、パラリンピック以外にも、知的障がいのあるアスリートに継続的なスポーツトレーニングとその発表の場の提供を目的としたスペシャルオリンピックス(英語:Special Olympics)や、聴覚障がい者のみが参加する4年に1度の国際大会であるデフリンピック(英語:Deaflympics)が開催されています。このように、障がい者アスリートが活躍する場も増え、彼らの競技力も目覚ましく向上しています。一方、障がい者アスリートと呼ばれる選手達が持つ障がいは様々であり、それぞれが抱える問題も多種多様なため、障がい者アスリートをサポートする側の十分な理解も求められています。

障がい者アスリートの食事・栄養

健康な人(健常者)が健康の保持・増進のために、どれくらいのエネルギーや栄養素を摂取すれば良いかは食事摂取基準に示されています。しかし、健常のアスリートでもスポーツ種目やトレーニング状態によって摂るべき栄養を考える必要があり、アスリートという一括りでの食事管理ができないという難しさがあります。ましてや障がい者においては食事摂取基準自体が示されておらず、障がい者アスリートを対象とした栄養科学的な調査・研究は、一般のアスリートを対象としたものよりも不足しているのが現状です(5)
障がいの種類は、身体障がい(肢体不自由、視覚障がい、聴覚障がい、内部障がい)、知的障がい、精神障がいが挙げられます。さらに、障がいの詳細は多岐に亘り、例えば肢体不自由では切断・欠損、機能障がい、頸椎・脊椎損傷、脳性麻痺などがあります(6)。したがって、それぞれ障がいの特性によって栄養学的に考慮すべき点や嚥下・咀嚼機能障がいへの対応、排泄ケアなどを含めた食事管理に関わる選手へのアプローチは大きく異なることが予想されます。
本稿では、著者が実際に障がい者スポーツの支援の現場で経験したことを含めて情報提供させていただくことで、身体障がい者アスリートの栄養摂取について考える機会とさせていただきたいと思います。ここに紹介する話題はあくまでも一事例であり、同様の障がいであっても個々で支援すべき視点は全く異なってくる可能性があることにご留意いただきたいと思います。

 

スポーツ栄養士による:障がい者アスリートのスポーツ栄養(後編)

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