管理栄養士が見た:かつての長寿県No1 【沖縄県の食事】 (後編)

4) 海藻類の摂取量が多い

また、昆布の消費が多いことでも沖縄県は有名です。昆布といえば出汁として使用することをイメージしますが、沖縄県ではそのまま食べるための食材料です。
沖縄県ではあまり取れない昆布が多食されている理由は、台風が多い沖縄県にとって災害時の非常食として重宝されたということや、暑い沖縄県にとって乾燥している昆布は保存食によかったことなど、風土に適合していることです。

5) 食塩と砂糖の摂取が少ない

国民栄養調査によると、沖縄県の食塩摂取量は約10gで、全国値は約12gであり、全国値の80%台という低さです。沖縄県のしょうゆ購入量や塩干魚介類の購入量の低さも目立ちます。さらに、沖縄県には野菜の漬物が少ないです。三度の食事ごとに漬物を食べる習慣が無いというのが理由の1つですが、年中野菜が取れる沖縄県は野菜を漬物として保存する必要が無かったからです。
このように沖縄県の塩分摂取量が少ないことによって、脳血管疾患の死亡率が低くなっています。また、塩分摂取量が少ないのは琉球料理の味付けにも関係しています。

6) 料理形態に特徴がある

沖縄県の調理法としては、炒める、煮るが多く、焼くが少ないです。豚肉の摂取量が多いことによる脂質の摂取量も多いはずなのに、生活習慣病における死亡率は少ないです。なぜかというと、沖縄県の豚肉料理は豚肉を大きな塊のまま長時間茹で加熱をして軟化させた後に加工、調味を行います。このような調理により、豚肉の脂質やコレステロール量を減少させることができました。
琉球料理は材料を取り混ぜて炒める、煮ることから材料のだしを十分に引き出します。例えば、豚肉のだし汁は調味料としての塩分をほとんど使用しません。昆布と豚肉の組み合わせです。昆布を使った琉球料理も多く、そのほとんどが豚肉や豚肉のだし汁を組み合わせたものです。豚肉の脂によって昆布が柔らかくなり、ツヤも出て昆布のうまみを引き出すことが出来ます。
つまり、沖縄県の伝統的な豚肉料理にはきまって昆布が使用されており、昆布無しの豚肉料理は無いと言っても過言ではありません。さらに、豚肉と昆布の組み合わせは栄養学的にも優れたものであり、沖縄の食事の特徴となっています。

7) 現在の平均寿命と食事

沖縄県は長らく「長寿県」として知られてきましたが、しかし、それはいまや昔の話となりました。沖縄の男性平均寿命は2000年には26位と大幅に転落しました。この沖縄県の健康長寿の危機的状況は「26ショック」、または「沖縄クライシス=危機」とも呼ばれ、各方面に大きな衝撃が広がりました。女性はその後も都道府県別平均寿命1位を維持していたものの、2010年には遂に女性も3位に転落し男性は落ち続けて30位となっています。
沖縄県は第二次大戦後、アメリカ占領下となり、急速に食の欧米化が進みました。ファストフードのチェーン店が広まりアメリカナイズされた高カロリー・高脂肪の食事をするようになった結果と考えます。

管理栄養士が見た:かつての長寿県No1 【沖縄県の食事】 (前編)

 

執筆・編集 中村学園大学 大部 正代
http://www.nakamura-u.ac.jp/

参考
日本一の長寿県沖縄に学ぶ健康長寿食 宮城重二 女子栄養大学出版部 1993年
健康の科学シリーズ9沖縄の長寿 尚弘子 学会センター関西 1999年
沖縄県の長寿のかげりと食文化・生活史の変遷 松田信子 女子栄養大学紀要vol.37 2006年

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