管理栄養士が見た:かつての長寿県No1 【沖縄県の食事】 (前編)

現在の長寿県は長野県ですが、長野県の前に長年長寿県として有名だった都道府県をご存知でしょうか。それは最も西に位置する沖縄県です。沖縄県は、長寿の根拠となる「平均余命(平均寿命)」と「100歳高齢者出現率」が最も多く、平均寿命は男女ともに1位、また、悪性新生物、脳血管疾患の死亡率が全国1低いことでも有名でした。では、長寿を支えた沖縄の食文化はいったいどのようなものでしょうか。

1)  肉類の摂取が多い

沖縄県は琉球王国時代から中国や多くの東南アジアとの交易により、肉食文化の定着が速かったと言われています。戦前から馬や牛は労役のために飼育されていたこともあり、食肉用としては、豚肉が主に食べられていました。特に、沖縄県では豚肉のあらゆる部位を利用しつくします。
例えば、豚足には多くのコラーゲンがふくまれていますが、このコラーゲンは皮膚の下の血管を支えたり、肝臓や筋肉などの結合を支えたり多くの働きをします。すべての部位を使いつくすという食文化によって、沖縄県の肉売り場には、肋骨、だし骨、胃腸、心臓などの内臓類、耳、豚足までが売られています。
このような背景により、国民栄養調査によると沖縄県の肉類摂取量は1日一人当たり約90g、全国平均の70gを3割近く上回っています。沖縄県ではたんぱく源を豚肉から十分に摂取していることがわかります。

2) 豆類の摂取が多い

沖縄県の豆類摂取量は肉類と同じで約90gです。動物性たんぱく質と動物性たんぱく質がバランスよく摂取できていることが言えます。
摂取量が多いのが影響して、沖縄県で売られている豆腐の大きさは本土に比べて大きいです。通常1丁約300gで売られているのが一般的ですが、沖縄では1丁約900gで売られています。違うのは量だけではありません。沖縄県の人々が日常的に食べている豆腐は木綿豆腐であり、通称「沖縄豆腐」と言われています。普通の木綿豆腐に比べて沖縄豆腐は5%ほど水分が少ないです。水分が少ないことによって、豆腐自体が硬いので油いため、つまり豆腐チャンプルーに適しています。次に、エネルギー量を比較してみると100g当たり木綿豆腐は72kcal、沖縄豆腐は106kcalです。豆腐の主成分であるたんぱく質は木綿豆腐が6.6gであるのに対し沖縄豆腐は9.1gと1.3倍も多く含んでいます。糖質やカルシウムはおなじですが鉄、ナトリウム、カリウムなどのミネラルは沖縄豆腐が多く、ビタミンB1およびビタミンB2も沖縄豆腐に多く含まれています。このように沖縄県で多く食べられている豆腐は栄養が豊富なのです。

3) 野菜類の摂取量が多い

日常的に野菜の利用が多く、汁物や炒め物に利用するもの沖縄県の食文化の一つです。沖縄県には「チャンプルー」という伝統的な一般的な調理法があります。肉や野菜を豆腐と一緒に油いためするもので、チャンプルー料理の材料として多く野菜が使われることが、沖縄県の野菜の摂取量にも関わっています。緑黄色野菜の摂取量を比べてみると、全国が約60~80gであるのに対して沖縄県は約80~110gと全国を3割近く上回っています。
チャンプルーといえばゴーヤー(にがうり)が一般的ですが、ゴーヤーにはビタミンCが多く含まれているので栄養素は豊富です。人参やキャベツ以外にも品目のはっきりしない緑黄色野菜が多いのも沖縄県ならではです。ほかの緑黄色野菜の摂取量は全国の2倍近く摂取されています。温暖な気候であるため住まいや畑の周りに生えるカンダバー(芋の葉)やフーチバー(よもぎ)など、野草や薬草は年中利用できます。
肉や野菜、豆腐などをバランスよく食べることができるチャンプルーは、栄養学的にもたんぱく質脂質ミネラルビタミンの摂取手段の1つです。

 

管理栄養士が見た:かつての長寿県No1 【沖縄県の食事】 (後編)

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