管理栄養士が書く:がんと栄養素(前編)

がん予防と栄養

日本ではがんの死亡数と罹患数はともに増加し続けているのが現状です。がんに罹患することにより、身体的、精神的苦痛に加え、高額の治療費による負担が生じるため、がんの罹患リスクを減少させるためのがん予防が重要となります。体質、生活習慣、生活環境など多くの因子が、がん罹患のリスクを増減させる可能性があり、食生活や栄養はその主要因子のひとつと考えられています。しかしながら、われわれが日常摂取している食物中には発がんに関与する可能性のある物質と抗がんに関与する可能性のある物質が混在していることや、証明するためには長期にわたる研究が必要であることなどから、がん予防としての食生活あるいは食品を確定することは難しく、これを摂っていれば確実にがんを予防できるという単一の食品、栄養素は、現在のところわかっていません。
現在、日本人に対しては国立がん研究センターから日本人のためのがん予防法が提示されています(表1)。

表1 日本人のためのがん予防法

国立がん研究センター がん情報サービスより引用

 

一日三食、偏らずバランスのよい食事を適量食べることが基本

日本人のためのがん予防法では、食生活は偏りなくバランスのよい食事を摂ることが原則になっています。これは、摂りすぎるとがんのリスクを上げる可能性がある食品中の成分、あるいは調理、保存の過程で生成される化学物質等によるリスクを分散させることと同時に、がんのリスクを下げる可能性がある食品を常時摂取することによりがんを予防するという考えです。
また体型は適正な範囲で維持管理することがあることががん予防としてあげられているため、食事はバランスとともに、食べる量も重要となります。

偏らずバランスのよい食事をするために、何をどれだけ摂ればいいのかと難しく考えがちになりますが、主食、汁物、主菜、副菜、副々菜で構成される「一汁三菜」を基本とした食器をそろえ、そこへ料理を適量盛り付けることにより、食卓の準備がスムーズになります(図1)。

食事の量は、体型で評価します。がん予防の観点から、体型はBMI1)が中高年期男性は21〜27、中高年期女性では21〜25が推奨されています。範囲外の場合は、少しずつ(多くても1ヶ月に1kg以内)範囲内に体重が近づくように食事量を調節すること、範囲内の場合は、維持することが重要です。そのためには、毎朝起床時に体重を測定し、前日と比較して体重が増えていれば前日の食事量は多い、減っていれば少ないと評価することで、自分にとっての食事の適量を知ることができます。食事量の加減も一汁三菜すべての器への料理の盛り付けを多くしたり、少なくしたりすることでバランスが保たれます。
1) Body Mass Index BMI=体重 (kg)/身長 (m)²


図1 バランスのよい食事「一汁三菜」
中村学園大学 栄養クリニック 適量生活のススメより引用

 

素材そのものの味を引き立てる味付けで減塩

食塩は1日あたり男性8.0g未満、女性7.0g未満が目標です。さらに、塩辛い食品は摂取を控えることが推奨されています。新鮮な食材を調達し、新鮮なうちに調理し、よく噛んで素材の味を感じながら食べることで調味料に頼らなくてもおいしく食べることができます。可能であれば調味料は計量して調味することが望ましいです。さらに減塩の方法としては、だしを活用する、香辛料や柑橘などで味を引き立たせる、塩糀などで旨味を追加するなどさまざまな工夫があります。

 

管理栄養士が書く:がんと栄養素(後編)

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