満腹・空腹を感じる脳

満腹・空腹を感じるとき、食関連ホルモンが作用しています。その中でも主なものとして、満腹を感じるときには胃の中から分泌されるレプチンというホルモンが、空腹を感じるときには グレリンが作用しています。「管理栄養士が書く:高血圧と栄養素」でも見てきたように、生活習慣病の予防のために肥満に注意を払う場合にBMIを18.5~25.0㎏/m²未満に保つことが一つの目安となります。そのために、満腹・空腹を感じるメカニズムを見てみました。

満腹を感じさせるレプチン

私たちは食事をとり始めてから20~30分してから満腹感を感じ始めます。レプチンの分泌が亢進されて脳の摂食中枢に作用して満腹感を感じさせるのに時間が必要だからです。そのため、食事を摂る際には20分以上時間をかけてとるのが良いと言われています。

レプチンは脂肪細胞から分泌され、脂肪細胞が多ければ多いほど、脂肪細胞が大きければ大きいほど(すなわち肥満であればあるほど)多く分泌されます。また、レプチンは交感神経を優位にし、脂肪細胞の分解・燃焼にも働きかけてくれます。
しかしながら、レプチンからの満腹メッセージを受けとり、情報伝達するレプチンの受容体(レセプター)には抵抗性があるために、レプチンの量が慢性的に増えれば増えるほどその働きが鈍くなります。そのため、過度の肥満が進むとレプチンは分泌されているにもかかわらず満腹感が得られなくなってしまい、更なる摂食行動に出てしまうのです。
レプチン受容体が正しく機能するようにするためには、過度の食事摂取のほかにも過度の食事制限も避けた方が良いでしょう。特に過度の食事制限ではレプチン自体の分泌量が減ってしまい、食事制限の後で激しい食欲に襲われてしまいます。また、レプチンとレプチン受容体が正しく機能するためには、亜鉛などのミネラル分、ビタミン、そしてタンパク質をバランスよく摂取することが必要です。

レプチンは「痩せる」のギリシャ語「Leptos」が語源となっており、その受容体も含めて正しく作用するように気を付けてあげることが重要です。

空腹を感じさせるグレリン

グレリンは日本の当時国立循環器病センター研究所の寒川賢治氏らが発見したホルモンであり、英語の”grow(育つ)”の祖語である”ghre”に基づいて命名されました。
グレリンは成長ホルモンの分泌を促進する作用があると同時に、食欲を亢進させる働きをもつホルモンです。食事前には高く、食後数時間以内に通常レベルに戻ります。そして、グレリンには脂肪をため込んで体重を増やす効果があります。
また、グレリンは高血糖下ではインシュリンの分泌を促進し、低血糖下ではインシュリンの分泌を変化させないことから、糖代謝に関りがあるのではないかと考えられています。

空腹でなくても食べたくさせるドーパミン

私たちは、お腹が減っていなくても好きなもの・美味しいものをみるとついつい食べてしまうことがあります。これは生きていくために食物(栄養)を摂るのとは異なり「嗜好性に基づく摂食」とよばれています。その時、私たちの頭の中では「これ」を食べたらおいしいだろうな(満足するするだろうな)という報酬を予想し、実際に「それ」を食べたという行動を完了したという満足感で満たされています。それらは報酬系と言われるホルモン、中でもドーパミンが作用していると考えられています。私たちの「やる気」や「集中力」を高めてくれるドーパミンですが、満足するためには満腹であっても美味しいものは我慢できないという行動の原因ともなっているのです。

なお、グレリン発見時の舞台裏についてご興味ある方は、こちらのサイトに載っています。
分子生命科学研究所 論文発表の舞台裏「グレリンの発見まで」
https://www.kurume-u.ac.jp/site/lifescience/professor-discovery.html

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