市場参加者:仲卸 に聞く(その5)

「魅力ある農業経営、農業者の所得向上」にむけて昨今議論されている中で、JAの委託販売から買取販売への転換と卸売市場法もしくは卸売市場自体の見直しについて、特に「価格」、「流通」の観点からお話をお伺いしました。

<Q>議論中であるためにどうなるかわかりませんが、JAが買取販売に転換した場合の影響についてお伺いさせてください。
価格の決定権の大部分は小売業者が握っていますが、その価格が農業者にとって適正か否かは難しいところだと思います。実際にJAが買取販売に転換した際にどのような価格を提示してくるかはわかりませんが、最終的には、やはり基準価格というものが必要になってくると思っています。但し一部のJAだけで始めても、当然買い手は安い方に流れますので、その際には足並みを揃える必要があると考えています。
また、地域間での人口、消費者となりますが、の格差が大きく、今後も拍車がかかりそうな状況ですから、買い手を抱えている販売力のある市場に卸す方がリスクが少ないという判断が出てきても不思議はないと思います。先日もある地方の小売業者の方とお話しした際も、「こだわり」のある商品を探そうと思うと地元の市場ではそもそもおいていないために手に入らない状況だと仰っていました。そのようなお話をお伺いすると、商品を分散して卸すと、特に「こだわり」のある商品については価格がつかない場合があり得ますから、販売力のあるところにまとめて出荷して値付けをしたのちに、その市場から地方へ出荷するといったことが起き得るのではないでしょうか?

<Q>卸売市場法の見直しについては、どのような影響があると思われますか?
卸売市場法見直しの中で「大卸の受託拒否」が現在議論されていますが、JAが今まで以上に市場の状況を見ながら出荷先を選択することになると思われます。よって、より有利な販売ができる市場へと卸すこととなれば、結果的に販売平均単価の上昇が期待できるとは思っていますし、とても重要なことだと捉えています。
その一方で、実務的には、やはり数量をまとめて捌ける市場に対して卸していかないと、捌ききれない時には厳しい状況になってしまうと思います。市場で捌けない場合の次の販売先となると大手量販店となると思いますが、大手量販店は生産者から直接仕入れ「顔の見える」野菜として差別化した販売方法と、市場から量を仕入れて販売する方法をともに行っています。市場から仕入れている理由の一つには一定量を安く買える場合があるからということがありますので、市場で捌けない場合に販売交渉をすると条件が一段と悪いものとなってしまいますから。

「価格」ということで言うと、そもそも供給が多い場合は価格が低下せざるを得ず、できた野菜を日本国内だけで捌こうとするとどこかでその問題が出てきます。10数年前ですが、ブロッコリーが体に良いと評判になり皆が作付けした結果、供給量が一気に増えてしまい、価格が前年の1/6から1/7になってしまったことがあります。
不必要な作付けを極力減らすことへの取り組みにシフトしていかなければいけないと考えています。生産サイドへの情報提供、例えば、種苗の販売状況から収穫時供給量の多寡を予測するであるとか、消費者ニーズを考えたら供給量が相対的に少ないであるとか、より前倒しなタイミングで質の高い情報提供をJA、市場、小売業者から発信していくことを考えなければならないと考えています。

<Q>卸売市場自体の見直しについては、どのような影響があると思われますか?
取引の形態としては市場を経由する取引と市場を通さない取引というように使い分けされていくのではないでしょうか。
市場経由取引であれば既に物流整備がなされていますので余計な経費が掛かりません。その際であっても、市場を経由する取引については、大卸と仲卸ではそれぞれ異なった役割がありますので、そこの垣根が一気になくなることはないと考えています。
一方、商品である野菜を市場を通さずになされる取引、特に大きな取引については、小売業者が大卸から直接買い入れることができる権利(買参権)を持つことで出荷元ー大卸ー小売業者という取引も出てくると思っています。

今回はお時間いただきありがとうございました。
<本多社長> こちらこそ、どうもありがとうございました。

市場参加者:仲卸 に聞く(その4)

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