市場参加者:仲卸 に聞く(その1)

今回は東京都大田市場の仲卸業者である株式会社 大治 の本多 諭 代表取締役社長にお話をお伺いしました。まずは、青果市場、特に日本でも有数の大田市場についてお伺いしたいと思います。

おはようございます。本日はよろしくお願い致します。
<本多社長>おはようございます。こちらこそ、よろしくお願い致します。

<Q>早速ですが、御社についてご説明下さい。
1949年に神田市場で創業した仲卸業者で、当時から八百屋さん、スーパーマーケットをお取引先としています。但し、15年ほど前から新たなお取引先業態として外食産業にも販路を拡げ、今では売上の約55%がスーパーマーケット、45%が外食産業となっています。

<Q>大田市場の市場規模について教えてください。
大田市場の年間売上高は野菜・果物あわせて約2,700億円程度であり、東京中央市場の約50%、直近ではそれ以上となっているのではと思われますが、全国の取引量と比較すると15%近くを占めていると思います。全体的に厳しい状況にある業界ではありますが、他市場と比較すると、その集荷力と圧倒的な顧客を抱えていることから、今後ますます優位性を増すものと思われます。

<Q>大田市場の仲卸の状況について教えてください。
全国的に減少傾向にある仲卸業者ですが、大田市場では移転当初(※) は206社でしたが今では160社強と20%程度の減少幅となっています。東京都中央卸売市場では約30%の減少と言われています。
規模というよりは特色になりますが、以前ですと「葉物」は「どこの仲卸」、「茎物」は「どこの仲卸」というように取り扱い商品による専門性をもった仲卸業者が多くいたのですが、スーパーマーケットが品揃えを求めることもあり、現在ではどの仲卸業者も一通りの品揃えをするになり、専門性を持った仲卸が少なくなりました。

※:1989年の神田市場・荏原市場・荏原市場蒲田分場統合時

<Q>市場の役割、大卸・仲卸の役割について教えてください。
もともとの市場機能としては、評価・集荷/分荷・金融決済機能・情報発信があり、その中でも産地に近い部分を大卸、小売・消費者に近い部分を仲卸が担ってきました。また、今でもそうですが大卸には受託拒否禁止義務(※)とともに当日中に売り切る義務があり、かつては鮮度保持の技術もそれほど高くないために、市場に流入してきた商品の需要と供給のバランスを「せり」方式で調整するという機能を市場が担ってきました。情報発信については、かつては商品特化型の仲卸業者がいたので「ある程度」なされていたのではないかと思います。

※ :出荷先から売買の委託依頼があった場合には、いかなる状況でも拒否できないこと。

昨今では顧客のニーズも多様化し、「あるものを販売する」だけではなく、自ら提案しながら販売していくことの必要性が高まっています。また、スーパーマーケットの取引量が増加し、より早い「価格決定」や「商品確保」が求められてきました。そのため様々な規制の緩和(※1~※4)が実施され、大卸が仲卸的な機能を、仲卸が大卸的な機能を一部保有するように変化してきています。
情報発信については、出荷者主導の受け身の仕組みの中で、かつ専門性を持った業者が減ったことから十分な情報発信ができていないと言わざるを得ないと思います。今後は、消費者ニーズを産地に的確に伝えるのは勿論のこととして、新たな需要を喚起するなどの働きかけも必要だと考えています。

※1:原則、市場内に搬入された商品のみを市場で取引可能としていたが、市場外倉庫等に搬入された商品も取引可能とした。
※2:大卸が市場内の仲卸・買参人以外に新たに市場外の業者にも条件付きながら直接販売することを可能とした。
※3:仲卸が市場内大卸以外に新たに市場外業者からの直接仕入れを条件付きながら可能とした。
※4:原則、「せり」による競売方法を採用していたが、個別交渉による「相対取引」を可能とした。

<Q>大卸の市場外直接販売と仲卸の市場外調達について、もう少しご説明いただけますか?
大卸と仲卸の垣根が崩れつつあり、仲卸の機能を必要としない大手スーパーマーケットに対しては大卸からの直販が発生しています。一方、小売業者の多様なニーズを満たすために仲卸が商品開発のために産地から直接仕入れる場合が増えています。大田市場は、まだその垣根については節度が保たれている方だと感じますが、販売に苦戦している市場では大卸の仲卸業務としての直接販売や、集荷力の落ちてきている市場では仲卸が他市場から仕入れてくることが多々あるのではないかと思っています。


株式会社 大治 代表取締役社長 本多 諭
http://www.daiharu.co.jp/

市場参加者:仲卸 に聞く(その2)

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