管理栄養士が書く:糖尿病と栄養素(後編)

 

前回記事 : 管理栄養士が書く:糖尿病と栄養素(前編)

食の変遷と糖尿病

厚生労働省による毎年の国民健康・栄養調査でも、摂取栄養素の構成は、戦後50年は炭水化物の摂取量が減少、脂肪摂取量は増加、たんぱく質の摂取量は微増という結果を示しています (図1)。また、昭和20年代には穀類(ご飯やいも類)を1日500g食べていたのが、現代では280gと減少し、脂肪は18gから60gと3倍に増えたというデータもあります。この飽食かつ高脂肪食(特に飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪の過剰摂取)が内臓脂肪肥満を介してインスリンの作用不足を増強させた結果、糖尿病が発症すると考えられています。

欧米人が高度の過食が続いて太っても糖尿病にならないのは、遺伝的に欧米人のインスリン分泌能が高いからです。インスリンにより体に脂肪を溜め込み太ってしまいますが、インスリンが血糖値を正常化できる分だけ分泌されている間は糖尿病にはなりません。

しかし多くの日本人はインスリン分泌能が欧米人に比べて低く、太る前にインスリン分泌障害をきたして糖尿病になってしまいます。つまり、もともとインスリン分泌能が低い日本人が欧米化した食生活をすれば、欧米人よりも糖尿病になりやすいのです。

さらに自動車などの交通手段や機械などの発達により、私たちの生活は非常に便利になりましたが、それに伴い日常生活の活動量が低下し、肥満が助長され糖尿病の発症の増加に追い討ちをかけています(図2)。

この食の欧米化と身体活動量の低下により、身体活動に見合わない過剰なエネルギー摂取を続けている現代の生活習慣が糖尿病患者を増加させている要因となっています。

世界糖尿病デー

2006年国連は糖尿病の脅威が世界規模で拡大しているのを受け、糖尿病対策に積極的に取り組む決議を採択し11月14日を世界糖尿病デーと制定しました。インスリンを発見したフレデリック・バンティング博士の誕生日にあたります。
キャンペーンのシンボルマークは「ブルーサークル」です。国連や空を表す「青(ブルー)」と団結を表す「輪(サークル)」で世界各地のランドマークをブル―に染めております。各地で実施しております。
今年は糖尿病予防の啓発運動に参加してみませんか。

(図1)エネルギーの栄養素別摂取構成比(国民健康・栄養調査)

(図2)わが国の生活習慣の変化と肥満・糖尿病有病率

 

執筆・編集 中村学園大学 大部 正代
http://www.nakamura-u.ac.jp/

(参考文献)
糖尿病療養指導ガイドブック2017;日本糖尿病菱油指導士認定機構編・著
渡辺毅:食と病‐生活習慣病を例として、日本栄養・食糧学会誌(2004)
厚生労働省 国民健康・栄養調査結果の概要
岡庭豊:病気が見えるvol.3、メディックメディア(平成27年)
京都大学ホームページ

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