管理栄養士が書く:動脈硬化と栄養素(後編)

前回記事:管理栄養士が書く:動脈硬化と栄養素(前編)

3.動脈硬化を引き起こす要因は?

脂質異常症や糖尿病、高血圧、喫煙、内臓脂肪型肥満、運動不足、ストレス、大食い、酒の飲みすぎなど,生活習慣が大きく関与します。
また、年齢や性別、遺伝、加齢など自然現象としての要因があります。性別では男性の方が動脈硬化を引き起こしやすいですが、女性は閉経期をすぎるとLDLの代謝を促すエストロゲンというホルモンが閉経によって低下してしまうため動脈硬化になりやすくなりますので食生活などの注意が必要です。

4.動脈硬化を予防する食生活のポイント

①油脂は質を考えてバランス良くとることが大切です。

油脂は主に飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の3つに分けられます。
飽和脂肪酸とは牛肉や豚肉、バター、パーム油など動物性の脂肪に多く含まれている油脂で、とりすぎるとコレステロールが増え、動脈硬化が進みやすくなってしまいます。
次に一価不飽和脂肪酸とはアーモンドやオリーブ油、とうもろこし油、菜種油などに含まれる油脂で、LDLコレステロールを減らす働きがあります。
特にオリーブ油にはオレイン酸という成分が含まれています。このオレイン酸という成分は動脈硬化を進めるLDLを減らす一方で動脈硬化を抑えるHDLを増やす働きがあります。また、オリーブ油はほかの植物油と比較して酸化しにくいという特徴があります。
最後に多価不飽和脂肪酸とは鯖やいわしなどの魚、大豆油、えごま油などに多く含まれる油脂です。
特に魚の油にはEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)という成分が多く含まれており、これらの成分には血液をサラサラにし、コレステロールを下げる働きがあります。

飽和脂肪酸が多く含まれる牛肉や豚肉を極端に減らし、一価不飽和脂肪酸の多く含まれるオリーブ油や多価不飽和脂肪酸を含む魚ばかりを食べるようにしようと思いがちですが、これら3つの油脂をバランス良く食生活に取り入れることが動脈硬化を予防する上では大切です。

②野菜やきのこ、海藻などの食品を食べるのも効果的です。

野菜や果物、緑茶にはさまざまな抗酸化物質が含まれています。抗酸化物質とはLDLが酸化するのを防いでくれる物質のことです。そんな抗酸化物質としてあげられるものにはビタミンCやビタミンEがあります。ビタミンCは野菜や果物に含まれており、特にブロッコリーや赤ピーマン、カリフラワーなどに豊富に含まれています。ビタミンEはアーモンドやナッツ類などに多く含まれています。
さらに、植物の黄色や赤の色素成分であるカロテノイドにも強い抗酸化作用があります。このカロテノイドはにんじんやほうれん草、トマトなどの緑黄色野菜に含まれています。トマトにはリコピンという抗酸化物質も含まれています。
また、きのこ類や海藻にはコレステロールを減らしてくれる働きをもつ食物繊維が含まれています。簡単にたっぷりと食物繊維をとるにはごはんに麦を入れて炊くのも良いです。

これらの食品をバランス良く毎日の食事に取り入れることで動脈硬化を予防することができます。

③大豆には動脈硬化を予防するイソフラボンやサポニンという成分が含まれています。

イソフラボンには女性ホルモンのエストロゲンと似た作用があります。コレステロールを減らし、活性酸素という体を酸化させるはたらきが強くなった酸素の害を防いでくれます。
サポニンは不飽和脂肪酸が酸化するのを防ぎ、すでに酸化された脂質が細胞を障害するのを防いでくれるのです。イソフラボンは体内で速やかに利用され、すぐに体外に排出されてしまうので豆腐や納豆、きな粉など毎食色々なかたちで食べるのがおすすめです。

 

執筆・編集 中村学園大学 大部 正代
http://www.nakamura-u.ac.jp/

(参考文献)
1 目で見る健康ブックス コレステロールを下げる知恵とコツ 12,13,54,55,102,103ページ
主婦の友社2003
2 visual栄養学テキスト 臨床栄養学Ⅱ各論 20ページ 本田佳子編集 2016年3月15日
3 病気が見えるvol.2 循環器 72,73ページ メディックメディア 2016年7月20日

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