需給曲線とWillingness to Pay

ここでは、青果物の価格決定メカニズムの中で触れた需給曲線とWillingness to Payについて見ていきましょう。

需給曲線とは?

商品の買いたい量(需要)と売りたい量(供給)を基に、価格がどのように決定されるかについて表した図のことです。
需要>供給の場合や、需要が一定の場合に供給が減少した場合も結果的に需要>供給となり、商品が不足しているため価格が上昇します。
需要<供給の場合は、商品が余剰のため価格が低下します。

Willingness to Pay(WTP)「購入意思額」とは?

顧客が対象となる商品に対して払ってもよいと思う価格のことです。サービス、品質、あるいは店舗立地や繫忙期など、個々の顧客・場面によって異なります。WTPをうまく見極めて価格設定することができると、

収益=売却価格 – コスト = WTP – コスト

と収益算出式をとらえなおすことができます。
すると、今までは「収益を増大させるためにはコストをいかに削減するか」というアプローチしかなかった戦略について、「WTPをいかに増大させるか」という選択肢が増えることとなります。その結果、価格競争(ディスカウント合戦)からの脱却が図れることとなります。特に、Price Takerである農家さんの場合には売却価格を受け入れざるを得ず、「コストをいかに削減するか」ということについてのみ議論がなされてきているのではないでしょうか?農家さんが安定した農業経営を行っていくためには、先ずWTPを見極め、価格決定権を握ることが必要となります。

差別化戦略を可能にするWTP

商品の価値とWTPをうまく見極めると差別化戦略が可能になります。
以下の例は、ある商品に対して購買意欲を持っている人が180人、それぞれのWTPが3,000円から10,000円までバラバラの状況を示しています。
品質が単一の商品を供給する際には、単価4,000で売り出すと売上が560,000円と最大になることになります。
しかし、8,000円以上出してもよいという顧客を高品質志向顧客とし、4,000円(~7,000円)なら出してもよいという顧客を低価格志向顧客ととらえ、商品(特上)と商品(並)と差別化した商品を投入すると総売上が680,000円に伸びることがわかります。

需給曲線は需要量と供給量を基に作成していますが、そこにWTPを追加要素として加味することで(この例の場合は「高品質志向」「低価格志向」)需要曲線を下記グラフ右側のように2つに分けて考えることができるのです。そして、それぞれのWTPに見合った差別化商品を提供することにより、総売り上げ=( p1 × q1 ) + ( p2 × q2 ) とすることができ、( p0 × q0 ) を上回っていれば、その差別化戦略は成功したということになります。

食品の3大機能とは?

青果物の価値、あるいはWTPを見極める際に念頭に入れておくものとして「食品の3大機能」を紹介しておきます。最近人気の機能性野菜はWTPをうまく見極め、その効能を表示することで市場経由の青果との差別化を図り「健康志向」消費者に照準をあわせたビジネス戦略と言えます。

1.栄養機能
私たちが生命を維持していく上で必要な栄養素(炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミンなど)を補給する機能です。

2.嗜好機能
私たちの五感(見た目・におい・味など)に訴える機能です。

3.生体調節機能
私たちの体の様々な機能(血圧・免疫・ストレスなど)を調節する機能です。

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