食材の価格:栄養価という価格決定要因(その3)

前回記事:食材の価格:栄養価という価格決定要因(その2)

少子高齢化の進む今、保険制度の前提が崩れています。また、地域間での人口格差が拡がりつつある今、全国至るところで均質な医療サービスを期待できるのでしょうか?今話題となっているのは、そう遠くない未来、2025年問題です。保険制度の良いところは医療へのアクセスの容易さですが、それゆえに私たちはモラルハザードに陥りやすく、保険制度に対して諸刃の剣となっています。

今後も増加が予想される国民医療費・介護費
高齢者の増加

生涯医療費は70歳から上昇していますし、また要介護リスクは75歳から上昇すると言われています。2025年には、団塊の世代(1947~1949年生まれで700万人程度)が後期高齢者にあたる75歳以上となります。

画像参照元:
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/backdata/1-2-1-08.html

—平均寿命・平均余命と健康寿命という概念—-
平均寿命とは、たった今生まれた子供が平均的にみて何歳まで生きるのかという寿命となります。平均余命とは、ある年齢まで生きてきた人が平均的にその後何年生きるのかという年数となります。よって、生まれたばかりの子供以外では平均余命は平均寿命とは一致しません。健康寿命とは、制限がなく日常生活を送れると思われる平均的な年齢のことです。よって、{(今の年齢+平均余命)-健康寿命}が私たち個々人が考えなければいけない”不健康である期間”となります。当然ながら平均寿命と健康寿命には差がありますが、現在では男性では9歳程度、女性では13歳程度の差があります。健康寿命を延ばすということは私たちにとって永遠のテーマでもあります。

以下の表は各年齢の人の平均余命年数を示したものとなります。
例えば0歳男児・女児の平均寿命は、それぞれ0+79.64=79.64歳、0+86.39=86.39歳となります。
また、60歳男性・女性の平均余命は22.84、28.37であり、それぞれ平均的に見た場合82.84、88.37歳まで生きられることを示しています。(平均寿命よりも2~3歳程度長生きできるであろうということとなります。)

画像参照元:
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life10/01.html

画像参照元:
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16/backdata/01-01-01-10.html

医療費の高騰

年々、医療の技術が向上していますが、高度医療は研究開発費となるコストをかけて日々進歩を遂げた結果であり、もちろんそのコストは医療費に跳ね返ってきます。

制度疲労を起こしている国民皆保険

好景気が続き税収が安定している国家財政のもと、また人口構成が釣鐘型で推移し高齢者・現役世代の比率が安定している場合に機能する国民皆保険制度ですが、それらの前提が2つとも崩れています。一部で取りざたされているように、国民皆保険制度の崩壊の危機についてもうなずけるものがあります。また、国民皆保険制度の功罪も浮き彫りになってきています。

1.少子高齢化がすすむ人口構成

晩婚化・非婚化が進み少子化が加速していますので、相対的に現役世代の人口割合が低下します。2010年には5.8人で75歳以上一人を支えていた計算となりますが、2025には3.3人で支えることとなります。厚生労働省の施設等機関である国立社会保障人口問題研究所の予測によれば、2050年まで一貫して0-19歳、20-64歳の人口比率は減少していく一方、75歳以上の人口比率は増加していく一方です。65-74歳の人口比率には多少のブレはあるものの横這いとなっています。現在の保険制度は現役世代の保険料の負担を高齢者の医療費に充てる構造となっています。現状の仕組みを継続する場合、減少していく現役世代の負担により増加する高齢者の医療費を賄うこととなるため破綻することは明らかです。これらからの人口構成を見据えた仕組みの見直しが急務となっています。

画像参照元:
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16/backdata/01-04-01-01.html

2.モラルハザードを生み出す国民皆保険・介護保険制度

私たちは医療・介護に50兆円もの金額を費やしていますが、普段の生活ではそれほどの負担を実感していません。なぜならば、国民皆保険制度・介護保険制度により守られているからです。すなわち、病院・施設窓口では各種制度下、年齢・収入により実際の金額の1割、2割もしくは3割というように一部しか支払いをしていないためです。
また、高額な医療サービスを受けた場合には高額療養費制度に基づき、自己負担額の上限が決まっていて、後日払い戻しが受けられるからです。実際の支払金額が低く抑えられているために、医療サービスにアクセスする際のハードルが低くなり、私たちは身体に何か異常を感じた際に気やすく病院に行くことができ、疾病の早期発見・早期治療が可能となっています。
その一方で、私たちの医療費・介護費について財政負担を強いていることを忘れがちとなり、その国家レベルでの金額が50兆円となっていて、今後も増加が予想されていることに対して危機感を覚えない状況となっているのです。私たちは医療・介護費用に対して財政の支援があることを当然のこととしてモラルハザードに陥っていないと言えるでしょうか?
ちなみに50兆円とは、東日本大震災の復興期間10年間に見込まれる事業費(約32兆円)の1.5倍以上となります。


画像参照元:
https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat7/sub-cat7-2/201701_joukyoutotorikumi.pdf

今後も拡大する人口地域間格差

総務省の新公立病院ガイドプランでは将来の人口減少・少子高齢化社会を見据えた医療需要の変化に対応すべく、効率経営・再編・ネットワーク化、あるいは経営形態の見直しなどの必要性が説かれています。かつ、地方公共団体にそのイニシアチブの発揮を期待しています。将来の人口に見合ったサービスに向けての効率的医療体制の構築が叫ばれていますが、国立社会保障人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」によれば、悲観的にならざるを得ません。
将来的には全国いたるところの医療機関で均質の医療サービスを受けられない可能性も否定できません。医療サービスへのアクセス、また医療サービスの質、そしてその支払い対価が地域によって異なるような状況になっているかもしれません。

1.地域別人口の隔たり

全国の地域ブロックごとに見た場合、2010年と比較して総人口にしめる各地域ブロックの人口割合は2030年・2040年では南関東ブロック(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)のみが上昇し、他地域はすべて減少します。

画像参照元:
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/1kouhyo/gaiyo.pdf

2.都道府県別人口の隔たり

2010年と比較して2040年に人口の減少が10%以内の都道府県は東京都・神奈川県・愛知県・滋賀県・沖縄県の5都道府県です。一方、20%以上減少している都道府県数は半数以上の25都道府県にのぼり、特に青森県・秋田県は30%以上の減少が予測されています。

3.市区町村別人口の隔たり

人口5,000人未満の市区町村が2040年には20%以上となります。また、2010と比較し2040年に20%以上の人口が減少する市区町村数が70%程度にのぼる一方で、人口が増える市区町村数は5%にすぎません。特に北海道では85市区町村、東北では67市区長村について40%以上の人口が減少すると予測されています。

画像参照元:
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/1kouhyo/gaiyo.pdf

食材の価格:栄養価という価格決定要因(その4)

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