管理栄養士が書く:高血圧と栄養素(後編)

血圧と関連深い栄養素として、2つ目にカリウムがあげられます。

カリウムはナトリウムを体内から体外に排泄する働きを持っており、これにより血液中のナトリウム濃度の調節を行っています(図3)。
このカリウムは、野菜、イモ類、果物、ナッツ類などに多く含まれており、生活習慣病の予防の観点からは、男性3000㎎/日以上、女性2600㎎/日以上の摂取が望ましいとされています。これは、1日当たり緑黄色野菜約150g、淡色野菜約200g(目安量:生野菜両手3杯分)、果物約150~200g(目安量:みかん2個またはりんご1/2個)の摂取が必要となります。
カリウムの摂取に着目すると野菜ジュースやスムージーにも水溶性であるカリウムは多く含まれていますが加糖タイプの野菜ジュースやスムージーの過剰摂取は肥満や糖尿病にもつながる危険性があるため注意が必要となります。

さらに、高血圧と関連の深い要因として肥満があげられます。

この理由を以下の図で説明いたします。

① 体格による影響:肥満により体が大きくなると、心臓は適正体重時よりもより遠くまで血液を行き渡らせるよう働きます(図4)。具体的な例を挙げますと、ボールを1m先の人に投げるのと、10m先の人に投げるのでは当然10m先の人にボールを投げるほうがより力が必要となる。この原理と同じように、肥満になると心臓もより広い範囲に血液を行き渡らせるために勢いよく血液を送り出すことで結果的に血圧が上昇することになります。

② 脂肪細胞の影響:体内には脂肪細胞という脂肪を貯蔵する細胞が存在します。この脂肪細胞は、アディポネクチンという物質を分泌しています。アディポネクチンは、傷ついた血管壁を修復する働きなど動脈硬化を予防するほか、インスリンの働きを高める作用、血圧を低下させる作用などがあります。また、内臓脂肪が増えるとアディポネクチンの分泌が減少し、動脈硬化を防ぐ働きの低下や、インスリン抵抗性の状態を引きおこし、血糖値の上昇や脂肪細胞自体からのアンギオテンシノーゲンの分泌が高まり血液中のアンギオテンシンを増加させて血圧を上昇させるなど、肥満による高血圧が悪化する要因の1つともなっています。

これらのことから、肥満にも注意した食生活が重要となります。なお、簡単に行える肥満の判定方法としてBMI(body mass index:体格指数)があり、次の算出方式に現体重と身長をmに換算してあてはめ算出し参考にされるとよいでしょう。
BMI = 体重(kg) ÷ {身長(m)}²
【例】身長165㎝、体重70㎏
体重70kg ÷ 身長1.65(m) ÷ 身長1.65(m) = 25.7㎏/m²
このBMIを18.5~25.0㎏/m²未満に保つことが、高血圧の予防や、生活習慣の予防にもなります。 以上のことから、普段の食生活に注意することで高血圧をはじめ生活習慣病の予防ができます。

執筆・編集 中村学園大学 大部 正代
http://www.nakamura-u.ac.jp/

 

(参考文献)
1、 病気がみえる循環器 第3版・岡庭豊・株式会社メディックメディア・2015.
2、 オールガイド食品成分表2015年版(七訂)・大畑秀穂・医歯薬出版株式会社・2016.
3、 臨床調理第6版・玉川和子・医歯薬出版株式会社・2015.
4、 〈はじめて学ぶ〉健康・栄養系教科書シリーズ⑦臨床栄養学概論・秋山栄一・株式会社化学同人・2011.

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