管理栄養士が書く:高血圧と栄養素(前編)

 

血圧とは、血液の圧力によって血管壁が押される力のことです。正常な血圧は収縮期血圧(心臓が収縮する際にかかる力のこと)130mmHg未満かつ拡張期血圧(心臓が拡張する際にかかる力のこと)90mmHg未満です。しかし、何らかの原因により収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上となった状態のことを高血圧といいます。

この高血圧の状態が長く続くことにより、血液の圧力に耐えるために動脈の血管壁が厚くなり、血液が流れる内腔は狭くなります。さらに、血管壁に負担がかかり血管壁が傷つくことでコレステロールなどの脂質がたまりやすくなり、ますます内腔は狭くなり血管が硬くなってしまいます(図1)。
これにより、心筋梗塞や脳梗塞、また高血圧性腎硬化症(腎臓の血管に起こる動脈硬化)などの動脈硬化性疾患を引き起こすリスクが正常血圧の人よりも高くなってしまいます。これらの動脈硬化性疾患を予防するためには、日頃より食事や運動で血圧をコントロールし予防することが重要となります。

この血圧と関連の深い栄養素として、まず1つ目にナトリウム(Na)があります。

ナトリウムは血液中に常に一定の量が存在していますが、食塩(NaCl)の過剰摂取等により血液中のナトリウムが増加すると体はナトリウムの濃度を元に戻そうとするために水を体に取り込みます(図2)。
例えば、食塩含有量の多い食べ物を多く食べた際にのどが渇くのもこのためです。そのため、ナトリウムを多く摂取すると体内の水分量が増加することで血液量が増加し血管の壁に大きな負担をかけることとなります。これらの理由により、高血圧の予防には食生活の中でも減塩が重要と提唱されています。
実際に1日食塩を3g減少させた場合、収縮期血圧が1~4mmHgの低下が見込め、脳卒中のリスクが6.4%低下すると言われています。現在、日本人1人当たりの食塩平均摂取量は11g/日と年々減少傾向にありますが生活習慣の予防の観点からは、男性8.0g/日、女性7.0g/日(小さじ1杯程度)が望ましいとされています。日本人の主食であります米(ごはん)は、食塩との相性がよく、新米のごはんを塩だけ握ったおむすびは最高のご馳走といえます。和食の注意すべき点としては塩や醤油の摂取量が過剰であにならないようにする工夫が必要です。減塩を行うための方法について以下に記します。

① 加工食品の摂取を控える:加工食品には保存のために食塩が多く使用されていることや、うま味調味料などのナトリウムが多く含まれるため食品表示を確認することが重要です。

② だしを利用する    :かつお節や昆布、椎茸の旨みを利用することでより風味を感じ、少ない食塩でもおいしく感じられます。
*粉末タイプのだしはナトリウムが多く含まれるため減塩タイプが望ましい。

③ 汁物の摂取回数を減らす:みそ汁などの汁物1杯には約1.5g程度の食塩が含まれるため1日1回が望ましいです。

④ 食材の切り方の工夫  :同じ食品でも調理の仕方の違いによって塩味の感じ方が異なります。例えば、マッシュポテトとこふき芋で比較するとマッシュポテトが食塩0.9%の食塩が必要なのに対し、粉ふき芋は0.7%でも塩味を感じることができる。このことから、食材の表面に味をつける料理の方が少ない食塩量でも食べることができます。

このような工夫によって食塩を減らすことができます。

管理栄養士が書く:高血圧と栄養素(後編)

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