食材の価格:栄養価という価格決定要因(その1)

 

最近、国民医療費の増加が話題となっています。「国民皆保険制度」、「介護保険制度」は国の財政に依存していますが、それぞれの保険制度はどのような負担のもとに成り立っているのでしょうか?また、赤字となっている公立病院も最近問題となっているので調べてみました。

今回の我々の分析結果では、卸売市場で取引される青果の価格と栄養価との間では相関が低いことがみて取れました。しかしながら、機能性野菜として流通している青果には市場流通価格よりも高い価格で販売されているものが多々あります。

そこでは栄養価を摂るという食生活習慣が直接の契機となっていると考えられます。一方、市場で取引される青果については大量取引を滞りなく処理する必要性から規格化されており、そこでは栄養価情報が表示されていないために価格決定時に考慮されていないことも挙げられます。栄養価に対して対価を意識して払ったうえで摂取するという行動、そこにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

まず考えられるのは自身の健康や体調の維持・促進により、疾病予防に対応し、直接的・間接的な医療負担ではないでしょうか。また、それと同時に自らのパフォーマンス向上があると思われます。この場合のパフォーマンスには仕事・家事などの労働のほかにも、勉強・スポーツ・美容など日々の生活を送る上で自ら充実したいと思っている物事も対象に含まれます。勉強・スポーツ・美容などに対しては「お金」を遣って向上を目指している人もいるでしょうが、その際であっても意識して栄養価を摂取する食生活行動は、その補助的役割としても貢献しています。

そうしてみると栄養価に対して対価を払う行動は、パフォーマンス向上による収入アップや自己実現による充実した人生への投資として考えられ、今後は栄養価も青果の価格決定メカニズムに考慮すべき要因としてとらえる必要があると我々は考えています。

ここでは、その中でも直接的な経済的メリットである医療費の抑制について、現在の私たちが恩恵を受けている国民皆保険制度・介護保険制度そして医療サービスの現状について調査してみました。

その結果、それらが危機的状況にあり、今後より一層悪化していくこと、結果としてその追加負担が私たちに求められることが見えてきました。現時点で対価を支払い、栄養価を意識して摂取している人たちは、その追加負担を考えた場合にその対価が見合うものだと判断しているのかもしれません。

医療・介護費用とその負担について

国民医療費と国民介護費用はすでに総額約50兆円規模となっており、それらは公費(国家・地方財政)に依存する仕組みとなっています。しかしながら、国・地方公共団体の財政はその負担に耐え切れない状態です。さらに、少子高齢化による人口構成の変化、そもそもの人口減少により加速する地方市区町村の過疎化が更に公費を圧迫することとなります。その結果、行政サービスの質の低下、もしくは私たちの更なる負担が強いられることが十分に予想されます。

そのような状況下で私たちにできることは、極力医療の世話にはならないこと、すなわち体力的・精神的健康に気を配ることです。その際に特に食生活を中心とした生活習慣の見直しが昨今話題となっています。実際、厚生労働省白書の中でも野菜摂取量の低下について取り上げられています。

財政に依存する私たちの医療費・介護保障費
1.国民医療費の財政依存

過去30年間増加している国民医療費、1995年に27兆円だった国民医療費が2014年には41兆円になる見込みです。また、後期高齢者・非後期高齢者それぞれの医療費内訳も年々増加しています。また、2013年時点での医療費40.1兆円(内後期高齢者医療費:14.2兆円)の主な項目毎の内訳は以下の通りとなっています。

        • 医科診療医療費    :28.7兆円  (10.7兆円)
          •     内入院医療費 :15.0兆円 (6.6兆円)
                      内入院外医療費:13.8兆円    (4.2兆円)
        • 薬局調剤医療費    : 7.1兆円  (2.4兆円)
        •    カッコ内はいずれも後期高齢者医療費

      現行制度下では公費(財政)4割、保険料5割、患者が1割を負担しています。

      画像参照元:
      http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16/backdata/01-03-01-05.html http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16-2/dl/03.pdf

    2.介護費用の財政依存

    2000年に3.6兆だった介護費用も、6年ごとに約3兆円の増加ペースとなっており、2012年には8.9兆円にのぼる金額となっています。そして財政が5割、高齢者が2割、そして若年者が3割の負担をしています。

    画像参照元:
    http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/zaisei/sikumi.html 厚生労働省ホームページ
    http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/16-2/dl/11.pdf 平成28年度版厚生労働省白書

    赤字公立病院の財政依存

    医療費・介護費用の増大のほかに、公立病院の赤字経営問題があります。公立病院はその性格上、行政サービスの面もあるために一概に赤字だからと言って非難しきれないところもあります。しかしながら、財政に負担を強いていることは事実です。
    2015年の総務省の新公立病院ガイドプランによれば、国や都道府県からの補助を含む会計繰入金を加味したうえでの経常損益が赤字である事業もしくは病院数の割合が約5割超となっています。

    画像参照元:
    http://www.soumu.go.jp/main_content/000471455.pdf

食材の価格:栄養価という価格決定要因(その2)

Leave a Response