食材の価格:青果物の価格決定メカニズム(前編)

 

最近、天候不順や天災により野菜の値段が「すぐ」高くなります。「昨年の1.3倍にもなった」とかよく聞きます。でも、あまりにも「すぐ」、「高く」なりすぎているような気がしませんか?実際に見てみると、スーパーマーケットなどでは収穫量が減っている場合でも、私たちのために商品を揃えようと「高くても」仕入れをしていることが大きな理由の一つだということがわかりました。その結果、野菜は「少しの生産量の不足」で「より高い値段で取引される」商品となっていることがわかりました。

 

需要の価格非弾力化により、野菜の価格変動リスクが増大。この要因は、スーパーマーケットなどの量販店の仕入行動!

皆さんが、スーパーマーケットなどで購入している野菜などの価格形成について、少し掘り下げて考えてみましょう。
詳細な説明は経済学書等に委ねますが、一般的には、物の価格は以下のような需給曲線で決まると言われています(図1参照)。尚、野菜の需要曲線は、価格弾力性が低くなったと言われています。(図2参照(需要曲線Aから需要曲線Bへの構造変化))これは、野菜の価格が高くなっても、安くなっても、昔と比べて、需要量があまり変化しない、という事を意味します。
野菜需要の価格弾力性の低下には、一般小売店(街の商店街にある八百屋さん)にとって代わって、価格の高い時でも安い時でも品揃えと数量確保に努めようとするスーパーマーケットなどの量販店が急拡大した背景に起因がある、と言われています。


皆さんの中には、「昔と比べて、最近の野菜価格は台風などの自然要因の影響で価格が高くなることが多いな~」、と感じている方々も多いのではないでしょうか。この要因の一つとして考えられるのが、先程説明した、野菜の需要の価格弾力性の低下です。
図3は、供給量の変化に対する価格の変動を表したグラフです。図を見てお分かりいただけるように、需要の価格弾力性が低い需要曲線Bの下では、相対的に価格弾力性が高い需要曲線Aの場合に比べて、より少ない供給量の変化に対して同一の価格変化が起こります。つまり、台風などの自然要因により供給量が減った時には、昔と比べて、価格の変動幅が大きくなっているのです。


品揃えと数量確保にこだわる量販店の仕入行動が、供給量の変化に対する価格変動の増大をもたらしたと言えます。量販店によれば、「品揃えと数量確保は消費者ニーズの観点から重要である」とのことですが、消費者の皆さんはどのように思われますか?野菜の種類が増えた今日、自然要因で品薄になっている野菜をどこまで必要としているのでしょうか?

また、需要の価格非弾力化による価格変動の増大は、農家さんなどの生産者の経営の不安定化をも招いています。経営安定化のため、豊作の時には作物を破棄し、市場への供給量をコントロールしている生産者もいると言われています。
豊作の時の作物ほど、美味しくて、栄養素が高いのに、もったいない事だと思いませんか?

参考資料:https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/62963/1/KJ00009064923.pdf

次回記事:食材の価格:青果物の価格決定メカニズム(中編)

 

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