美容・老化防止のための抗酸化栄養素(前編)

活性酸素の美容・生活習慣病への影響がよくとり上げられています。そこでは私たちの体内での活性酸素が細胞の酸化(さび)、つまり細胞の老化を引き起こすことが話題とされ、美容面からも、また生活習慣病予防の観点からも抗酸化食材の摂取の必要性が注目されています。ここでは活性酸素と抗酸化栄養素について見てみましょう。

活性酸素について

そもそも酸化とは分子に酸素が結びつくか、もしくは分子の持っている電子が奪い取られる化学反応のことであり、その結果、安定していた分子細胞の状態が損なわれ不安定となることです。私たちの体内では、脂質の流動性を奪ったり、核酸を攻撃し細胞分裂障害を引き起こしたり、タンパク質の酵素機能を抑制したり、皮膚の若さの秘訣コラーゲンなどにダメージを与えたりと、さまざまな悪影響の原因として考えられています。

その酸化を引き起こす原因物質が活性酸素であり、物質の状態としてはフリーラジカルであるもの、フリーラジカルではないものの2種類があります。いずれの状態であっても、自身の物質状態が安定していないために、自らの安定性のために他の物質の安定性を失わせるものとなります。

—フリーラジカルとは—

物質を最小単位の分子レベルで見た場合、原子核と電子からなっています。1分子に電子は通常偶数個あり安定状態にあります。しかしながら、何らかの理由で電子が奇数個となり、不安定状態となったものをフリーラジカルといいます。フリーラジカル物質は、より反応性が高くなります。
また、フリーラジカル物質が非ラジカル物質と反応すると、非ラジカル物質がフリーラジカル物質に変化して他の非ラジカル物質に作用するという連鎖反応を引き起こします。

狭義の活性酸素には以下の4種類が挙げられます。

  • 一重項酸素(高エネルギー酸素)
    フリーラジカル状態ではなく比較的安定状態にあるものの脂質に働きかけ脂質ラジカルを発生させ、さまざまな疾病の原因と思われる脂質過酸化物を生じさせる作用があります。但し、反応はそこで終了し連鎖反応は起きません。光化学反応でも生じることが特徴とされ、日光に当たることによっても発生します。紅葉は太陽光のエネルギーから一重項酸素が葉の内部に生じ酸化した結果です。
  • スーパーオキシド(酸素に電子が一つ余計に付与されたもの)
    主に細胞内でエネルギーが作られる際や、免疫作用が働く際に発生するもので、日常的かつ大量に生産されているフリーラジカル状態にある物質ですが、鉄やビタミンCなどの限られた物質としか反応しません。但し、過酸化水素をはじめとした他の活性酸素の生成もととなる重要な活性源であり認識しておく必要があります。
    私たちの体内にあるSOD(スーパーオキシドジムターゼ)などの活性酸素除去酵素(スカベンジャー)がその消去に働いてくれています。
  • 過酸化水素(水に酸素が一つ余計に付与されたもの)
    比較的安定している物質でありフリーラジカル状態の物質ではありませんし、私たちの体内で情報伝達物質としても働いています。しかし、鉄イオンや銅イオンとの反応によりヒドロキシルラジカルの発生原因となります。
    山芋に含まれるカタラーゼや、ごぼうに含まれているペルオキシダーゼなどの消化酵素がその抑制をしてくれます。
  • ヒドロキシルラジカル(酸素に電子が三つ余計に付与されたもの)
    きわめて反応度が高いフリーラジカル物質であり、ほとんどの有機物質と反応し、脂質の過酸化連鎖反応を引き起こしたり、私たちの遺伝情報を保持しているDNAを攻撃します。私たちの体内には直接的な消去機能ありません。

そのほかに、私たちにとって重要と思われる活性酸素として更に2つ挙げておきます。

  • 一酸化窒素(窒素と酸素が1つずつ結びついたもの)
    フリーラジカル物質ではあるものの反応性は比較的低く、私たちの体内で合成酵素を生成し神経伝達作用・血管拡張作用に機能していると考えられています。その一方で、スーパーオキシドとの反応から最終的にヒドロキシルラジカルを発生させる原因物質でもあります。
  • 脂質ラジカル(脂肪酸から電子が引き抜かれたもの)
    特に不飽和脂肪酸からヒドロキシルラジカルなどにより水素分子が引き抜かれたフリーラジカル物質です。脂質ラジカルは最終的に他の不飽和脂肪酸と反応することで自らが脂質過酸化物と変化し、その反応が連鎖的に起きるために脂質過酸化物が更に生成されます。様々な疾患において、その細胞組織内では脂質過酸化物が増加することが明らかとなっており、生活習慣病との関連性が研究されています。
細胞が酸化することは体に良くないのでしょうか?

細胞を錆びさせるとだけ聞くと、私たちは悪いイメージをついつい持ってしまいます。しかしながら、私たちの免疫機能はは酸化作用を利用して体に良くないものを退治しているのです。私たちは過酸化水素を3%程度に薄めオキシドールとして消毒液として用いることがあります。これは、免疫細胞の赤血球内の鉄分と反応させて、あえてヒドロキシルラジカルを生じさせその酸化作用を利用して消毒しているのです。

但し、相手が私たちに必要なものである場合や、あるいはその働きが制御不能になってしまいストレスを生ずる場合には先にも述べたようにコラーゲンを破壊したり、悪玉コレステロール(これ自体は悪い物質ではありませんが)を酸化して血管を詰まらせたりと悪影響をおこします。

美容・老化防止のための抗酸化栄養素(後編)

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