食材の価格:青果物のサプライチェーン(その1)

 

野菜は基本的には生産者→JA→青果市場→小売店という流れで私たちの食卓に来ていますが、そもそも青果市場はいつ・何故できたのでしょうか?そしてどのような役割を担っているのでしょうか?
実は100年近く前に生産者・消費者のために考えられた仕組みだったんです。そして時代の流れに合わせる形で、その運営方法も変化していることもわかりました。

 

市場について
1.卸売市場が設けられた背景と法律

市場、特に中央卸売場の歴史は大正時代にさかのぼります。当時の日本は第一次大戦 (1914-1918)の局外にいたおかげで戦争景気に沸き、その後の大正バブル(1919-1920)が崩壊した状況にありました。その間には、一部米商人の投機買占めが一因となった米価高騰に端を発した米騒動(1918)が発生しています。また、近代工業国家への途上でもあり、人口が農村部から都市部へと流入していた頃でもあり、都市部での食材の需要に応えるべく、適正で安定的な食の流通システムの構築が必要とされていました。そこで1923年に中央卸売市場法に基づき、それまでの流通を担っていた個々の問屋を組織化するかたちで一元化し、かつ安全で十分な設備を整えるために公設の中央卸売市場が設置されたのです。そこでは、公平公正な取引の実施が規定の中心となっています.
当時とられた主な具体的策としては、以下のものが挙げられます。

  • 他者に先駆けて青果物を仕入れる慣行を避けるため、大卸は委託販売原則とすること。
  • 大卸が供給側のパワーを利用して価格を決定しないように、また大卸の財務基盤の健全性を保つために自己勘定取引を禁止すること。
  • 大卸の販売手数料を法令により固定とし透明化すること。
  • 原則せり方式で価格を決定し、大卸・仲卸間の取引内容を透明化すること。
  • 売買対象商品について齟齬がおきないように場内現物取引とすること。

その後、第二次大戦中・戦後の統制経済のもと一旦無効化された後の1971年に卸売市場法が制定され、時代のニーズとともに、いくつかの改変を経ますが、中央卸売市場法の精神を引き継いでいます。

2.卸売市場に求められる機能

a)集荷・分荷機能

農村部からの食材の搬入、そして消費者への搬出としての機能を担います。

b)価格形成機能

集荷された食材に対して、せり等を通して透明性のある公正な値付け機能を担います。

c)代金決済機能

個別生産者・個別消費者間ではそれぞれの取引相手の信用力の判断が困難であるため、市場参加者がそれらを判断し、大量の食材商品の受け渡しと、それに伴う資金決済を行います。

d)情報発信機能

消費者に近い立場で消費者ニーズを感知し、生産者に対してその需要動向を発信するとともに、消費者に対しても食材供給動向を発信します。

3.時代とともに変化する公平公正な取引の実施方策

a)大卸の集荷方法自由化、大卸第三者販売と仲卸の直荷引取引の弾力的な運用

大卸は委託販売ではない買付集荷をすること、条件付きながらも市場外の業者に直接販売することが認められています。仲卸は条件付きながらも出荷者から直接仕入れることも認められています。

b)固定販売手数料の自由化

サービスに見合った対価をとの観点から、かつて固定であった手数料もすでに自由化されています。実際は中央卸売場の委託手数料率は野菜で8.5%、果実で7.0%と硬直しています。

c)相対取引

せり・入札が原則の取引形態をとっていた市場であったが、卸売業者と買付人が1対1で交渉して値付けされる相対取引が認可され、今では大部分が相対で取引されています。

d)場内現物取引の原則緩和(商物分離)

条件付きながらも、市場外に搬入された青果の取引が認められています。

以上の変化は、技術・情報の進化、ビジネス横断的なグローバル化に伴う変化もありますが、需要過多時に大量の規格品出荷が求められていた時代から消費者の個別選考が優先される時代への変化も一因とも言われています。また、これらの他にも大卸の受託拒否禁止・出荷奨励金・完納奨励金の見直しも必要になるのではとの声もでています。

    • 出荷奨励金:市場に出荷を促すための卸売業者から出荷元への委託額に応じた一定割合金額の交付金。
    • 完納奨励金:卸売業者が販売金額の早期納入を促進するために一部買受け人に対しその販売金額の一定割合を支払う交付金。

食材の価格:青果物のサプライチェーン(その2)

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